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路傍の晶

第3回

特別栽培の八百屋 玄米工房 ベジブル篠崎店 店長 杉浦さん

お店は篠崎駅から歩いて3分という
好立地にある
お店は篠崎駅から歩いて3分という
好立地にある
「ベジブル」というその店名から連想できるとおり、野菜や果物の小売業を営む杉浦さんだが、かつては中卸、すなわち市場で野菜を仕入れ、小売店や業者らに納入する仕事に従事していた。
「もともと父が足立市場(現東京北足立市場)で中卸をやっていました。ただ20kgちかい荷を運ぶものですから当然、足腰に悪い。父も体を痛めながら働いていました。そんな姿を見て、『ひとりでは限界がある。自分が手伝ったほうがいい』と思い、始めたんです」
冬はミカン、リンゴ、大根、ニンジン等がオススメ
冬はミカン、リンゴ、大根、ニンジン等がオススメ

 学生時代から夏休みや春休みなどの長い休暇を利用して、彼は父を手伝っていた。そのため、高校を卒業していざこの世界に入っても、なんの抵抗もなかったという。


 転機が訪れるのは、ある挑戦がきっかけだった。まだ暗い夜中のうちから市場に出向き、昼にはすべての作業を終える日々に、杉浦さんは疑問を抱き続けていた。
「日中の時間をうまく利用できないだろうか」そこで思いついたのが、車の移動販売だった。彼は昼食を終えると、車に野菜を積み、陽が落ちるまで各地に足を延ばした。訪問先は足立区にとどまらない。埼玉まで車を飛ばすもあった。

中卸の目を活かして農産物を厳選する杉浦さん
中卸の目を活かして農産物を厳選する杉浦さん

「このとき初めて、小売の面白さを知りました」と、杉浦さんは言う。
「中卸の仕事は仲介でしかないですから、自分で販売してお客さんの声を直接聞けるのがうれしかった。また私の知らない調理法などを教えてくださる方もいて、勉強にもなりました」


消費者の声にじかに触れる喜びが、彼の背中を押した。およそ2年間の移動販売を経て、杉浦さんは20年以上に渡る主戦場ともいうべき市場を飛び出し、「ベジブル」を開いたのだった。


 現在の店を構えて、この12月で丸10年になる。所狭しと並ぶ品々は全国から選りすぐり、さらに自身で足を運んだ契約農家の生産物まで揃えている。農薬の少ないものをリーズナブルに扱っている点も、彼のこだわっているところだ。
「生産農家の野菜は味が違いますよ。たとえば、このニンジン。無農薬で甘さがある。生でジュースにすれば、何も入れずに野菜自体の甘さだけでそのまま飲めます」
さらに移動販売のときに得た工夫だろう、それぞれにポップを付け、栄養面や効果的な使い方、おすすめの調理法も紹介している。利用者に尋ねられるなど、反響は上々だ。


「やはり、お客さんとのコミュニケーションが楽しいですね」杉浦さんは口元を緩める。
「『美味しい』という言葉を頂いたり、きれいに売り切れたときが一番うれしい。これからも安全で美味しい野菜を、いろんなお客さんに提供したいですね」


 ところで、店名をベジタブルならぬ「ベジブル」にしたのには訳がある。
「『タ』を抜く、つまり“他を抜く”という思いで付けました。今後、お店を増やしていけたらいい」
 さまざまな野菜を見続けて30余年、ほかにはない目をもって、杉浦さんはつぎの目標を見据えている。



取材・文◎隈元大吾


ベジブル篠崎店
住所:〒133-0054
江戸川区上篠崎4-29-17
アクセス:都営新宿線篠崎駅
北口より徒歩3分
電話番号:0120-52-4685
営業時間:10:30~19:30
定休日:日曜

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