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路傍の晶

第5回

木のおもちゃと絵本のお店 Little Tree 店長 吉高さん

一軒家を改造した南砂町の“隠れ家”
一軒家を改造した南砂町の“隠れ家”

「出会い」は、学生時代に訪れた。美術大学に進んだ吉高さんは木工デザインを専攻し、そこで初めて木に触れる。たくさんの木をトラックに積み込み、自ら製材し、椅子や食器などを幅広く手掛けた。また時をおなじくして、木製の玩具の存在も知る。「ずっと木と関わっていたい」触れれば触れるほど、彼女は素材としての木に対する興味を強くした。


 大学を卒業すると、家具メーカーを経て、木製の遊具のレンタル展開に企画から携わり、デザインも行なった。そのうち周囲から、「レンタルではなく販売してほしい」という声が寄せられるようになり、2年半前に「Little TREE」をオープンした。

インテリアとしても映える
木のおもちゃたち
インテリアとしても映える
木のおもちゃたち

「ひとをホッとさせるような、あたたかみがありますよね」木のおもちゃを見渡しながら、吉高さんは頬を緩める。
「木のおもちゃの素晴らしさを伝えたいと思って、お店を開きました。玩具としての遊びの要素はもちろんですが、大人の空間に置いても不自然ではない、むしろ引き立つ品をこだわってセレクトしています。たとえば木の楽器がありますが、子ども用とはいえ音がいいんですね。むやみにおもちゃを買い与えるのではなく、いいものを大人の目でしっかり選んでいただけたらと思います」



 さらにもうひとつ、彼女にはこだわっているものがある。
「私がいいなと思った絵本をお薦めしています。絵本はとても純粋な世界。子どものころに読んだ物語がずっと心に残っていたり、大人になってからあらためて読み返しても、心に響きます。そういった絵本の素晴らしさをお母さんたちに知ってほしい。お母さんが心から楽しんで、その気持ちで読むと、子どもにも伝わりますからね」

自身も木製玩具の制作に携わる
吉高さん
自身も木製玩具の制作に携わる
吉高さん

一軒家をリフォームしたショップは、一階に木製の玩具や絵本が並び、二階には子どもたちが遊べる空間が用意されている。商売っ気がないのだろう、「宣伝にはあまり力を入れていません」と笑う。が、口伝てで評判は広まり、いまでは玩具を買いに訪れる人々や遊びに来る親子連れ、また知人同士が2階で待ち合わせする光景もあるという。



「ショップというよりも、地域の拠り所になりたい」と、吉高さんはいう。
「『子どもとどう接していいか分からない』という悩みを抱えた方や、表面的には明るく見えても、ひとりになると悩んでいるお母さんが多いんです。だから、ここに来ればホッとする、リフレッシュできるような、お母さんたちの“隠れ家”のような存在でありたい」


木の“おもちゃ”というと、どうしても子どもにフォーカスしがちだが、店の対象は、じつは大人子どもを問わない。「Little TREE」が教えてくれる木のぬくもりは、吉高さん自身のあたたかさに等しかった。





取材・文◎隈元大吾

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